2008年4月の優秀答案当選者5名: ★吉田裕佳(埼玉県北葛飾郡松伏町)、★施栄濤(埼玉県志木市)、大前一太郎(京都府八幡市)、大渕綾香(和歌山県有田市)、野口史郎(福岡県大宰府市) 「先生と私」の7:しまいに私はじっとしておられなくなりました。無理にじっとしていれば、Kの部屋へ飛び込みたくなるのです。私はしかたなしに立って縁側へ出ました。そこから茶の間へ来て、なんという目的もなく、鉄瓶の湯を湯呑みについでいっぱい飲みました。それから玄関へ出ました。私はわざとKの部屋を回避するようにして、こんなふうに自分を往来の真ん中に見いだしたのです。私にはむろんどこへ行くというあてもありません。ただじっとしていられないだけでした。それで方角も何もかまずに、正月の町を、むやみに歩き回ったのです。私の頭はいくら歩いてもKのことでいっぱいになっていました。私もKを振るい落とす気で歩き回るわけではなかったのです。むしろ自分から進んで彼の姿を咀嚼しながらうろついていたのです。私には第一に彼が解しがたい男のように見えました。どうしてあんなことを突然私に打ち明けたのか、またどうして打ち明けなければいられないほどに、彼の恋がつのってきたのか、そうして平生の彼はどこに吹き飛ばされてしまったのか、すべて私には解しにくい問題でした。私は彼の強いことをしっていました。また彼のまじめなことを知っていました。私はこれから私のとるべき態度を決する前に、彼についてきかなければならない多くをもっているを信じました。同時にこれから先、彼を相手にするのが変に気味が悪かったのです。私は夢中に町の中を歩きながら、自分の部屋にじっと座っている彼の容貌を始終眼の前に描き出しました。しかもいくら私が歩いても彼を動かすことはとうていできないのだという声がどこかで聞こえるのです。つまり私には彼が一種の魔物のように思えたからでしょう。私は永久彼に祟られたのではなかろうという気さえしました。(夏目漱石 続く) 訳文:《老师和我之七》 最后我坐立不安了。如果硬是要呆在这儿的话我会按奈不住冲进K的房间的。所以没办法我只好站起身来到廊下。又从廊下来到起居室,漫无目的地,把铁壶里的热水倒满茶杯一饮而尽。之后走出了家门。我特意地避开K的房间,就这样来到大街当中。我当然不是具体地要去哪儿。只是不能老老实实地呆着罢了。于是不顾方向什么也不在乎地随便地徘徊在正月的大街上。无论走了多久我的头脑里还是充满了K的事。我也不是因为要从大脑中把K抖落掉才在大街上来回走的。反倒是自己主动地回味着他的态度举止而走来走去的。我第一觉得他是一个难以理解的男人。为什么突然毫不隐瞒地向我说出那样的事来呢,又为什么他的恋情已经强烈到了必须毫不隐瞒地向我说出来的程度呢,为什么平时的他好像被大风吹到哪儿去了一样呢,所有这些都是我难以理解的。他的坚强我是知道的。他的认真我也是知道的。在决定我今后应该采取怎样的态度之前,我确信对于他我必须做更多的了解。同时想到今后以他为对手感到异常地可怕。我一边忘我地在大街上走着,一边始终在眼前浮想出在自己的房间里安静地坐着的他的面貌。而且不管我怎么走总能听到不知从哪儿传来的[你是无论如何也无法动摇他的]这样的声音。也就是说,在我的意识里他是一种妖魔吧。我甚至萌生了是不是将永久地被他作祟呢这样的念头。(夏目漱石 未完待续 翻译者: 吉田裕佳 ) 訳文:《老师和我之七》:最后,我变得坐立不安起来了。如果勉强自己一动不动地呆着的话,我会飞步冲进K的房间中去。没办法,我站了起来,朝走廊走去。我又从走廊来到茶室,没有任何目的,只是将水壶里的开水倒进茶杯喝了个够。然后,我走出了大门。我刻意地想避开K的房间,在大街上我这样认识了自己当时的状态。当然我并没有什么要去的目的地。只是无法安静地在房间里呆下去。因此我不管东西南北,在新年的街道上胡乱地逛着。无论怎么走,我的脑海里始终都装满了K的事。我也并不是为了想甩掉K而到处走的。还不如说是我自己主动地一边咀嚼着他的样子,一边徘徊着。首先我觉得他是一个很难弄明白的人。为什么他突然对我坦率地说出那样的事呢?另外为什么他的爱情到了不得不袒露心声到那么强烈的程度了呢? 还有以前的那个他被风刮到什么地方去了呢? 全部都是我难以解答的问题。我了解他的坚强,我也了解他的认真。我深信在决定今后我应该采取的态度前,不得不问他的事有很多。同时,又觉得以后和他相处异常地不舒服。在大街上拼命走着的时候,我的眼前始终浮现出在自己房间里静静地坐着的他的容貌。而且不知从哪儿传来一个声音:无论我走多少路也无法撼动他半步。也就是因为我总觉得他仿佛是一种妖魔鬼怪吧。我甚至感到我是不是会永远地被他这个妖魔鬼怪作祟。(夏目漱石 未完待续)(翻译者
施荣涛 )
|