2008年3月の優秀答案当選者6名: ★施栄濤(埼玉県志木市)、★吉田裕佳(埼玉県北葛飾郡松伏町)、★森岡洋子(滋賀県近江八幡市)、田中隆生(沖縄県那覇市)、中村亜紀子(北海道札幌市)、水野健史(岡山県岡山市) 「先生と私」の6:二人はめいめいの部屋に引き取ったきり顔をあわせませんでした。Kの静かなことは朝と同じでした。私もじっと考え込んでいました。私は当然自分の心をKに打ち明けるべきはずだと思いました。しかしそれにはもう時機が後れてまったという気も起こりました。なぜさっきKの言葉を遮って、こっちから逆襲しなかったのか、そこが非常な手抜かりのようにみえてきました。せめてKの後に続いて、自分は自分の思うとおりをその場で話してしまったら、まだよかったろうにとも考えました。Kの自白に一段落がついた今となって、こっちからまた同じことを切り出すのは、どう思案しても変でした。私はこの不自然に打ち勝つ方法を知らなかったのです。私の頭は悔恨に揺られてぐらぐらしました。私はKが再び仕切りの襖を開けて向こうから突進してきてくれればいいと思いました。私に言わせれば、さっきはまるで不意撃ちにあったも同じでした。私にはKに応ずる準備も何もなかったのです。私は午前に失ったものを、今度は取り戻そうという下心を持っていました。それで時々眼を上げて、襖を眺めました。しかしその襖はいつまでたっても開きません。そうしてKは永久に静かなのです。そのうち私の頭はだんだんこの静かさにかき乱されるようになってきました。Kは今襖の向こうで何を考えているだろうと思うと、それが気になってたまらないのです。ふだんもこんなふうにお互いが仕切り一枚を間に置いて黙り合っている場合は始終あったのですが、私はKが静かであればあるほど、彼の存在を忘れるのがふつうの状態だったのですから、その時の私はよほど調子が狂っていたものとみなければなりません。それでいて私はこっちから進んで襖を開けることができなかったのです。いったん言いそびれた私は、また向こうからはたらきかけられる時機を待つよりほかにしかたがなかったのです。(夏目漱石 続く) 訳文:《先生和我之六》: 两人各自退回自己房间后就再也没照过面儿。K和上午一样安静。我也一直在沉思着。我觉得应当对K坦率地说出心里话,但又感到已经错过了时机。刚才我为什么不打断K的话,反攻一下呢? 这看上去是个很大的漏洞。又觉得至少在K说完之后,我将自己的想法当场说出的话还好一点吧!在K的爱的表白已经告一段落的现在,我再提起同样的话题,这事怎么想都觉得怪。我不知用何种方法克服这种不自然。我的头被悔恨晃荡得发晕。我想如果K再次拉开隔门闯进来的话就好了。如果让我说说刚才没能好好应战的原因的话,就是因为那简直如同突袭。我没有做好对付K的任何准备。我怀着上回失去的东西下回要夺回来的鬼胎。所以,我不时抬起眼睛看隔门。但是,那扇隔门却一直没开。K就那样永远地安静着。我的脑子渐渐地被这种安静搅得乱起来了。K现在在隔门对过考虑着什么呢?我一想到这个就在意得不得了。虽然平时也一贯有这种在一扇隔门的两边沉默共处的情况,但一般K越安静我就越会将他忘记,因此不得不说那时的我相当失常。虽然如此,我还是没能够从我这儿拉开隔门。失去了一次表白机会的我,除了等待对方再次发动攻势的时机外别无办法。(夏目漱石 未完待续)(翻译者 施荣涛) 訳文:《先生和我之六》:我俩各自回到自己的房间之后没照过面儿。K安静得和早上一样。我也一动不动地沉入思考之中。我想我本应该理所当然地把自己的心情告诉K。可是我又觉得为时已晚了。为什么当时我不打断K的话反击他呢,真是失策。最起码也应该在K说完之后当场把自己的想法说出来也好啊。在K的表白已事过多时的此时,自己再开口说出同样内容的话无论怎么思量都觉得不正常。我不知如何对付这尴尬的局面。悔恨让我头晕目眩。我想如果K再打开隔开我俩房间的隔扇门向我冲来该多好。对我来说,刚才简直就像遭到了突然袭击一样。我没有任何应付K的准备。我企图把上午失去的东西夺回来。因此我不时地抬眼望着隔扇门。可是那扇隔扇门过到什麽时候也没开。就这样K永久的安静着。渐渐的我的头脑被这安静搞得乱糟糟的。我想知道K在隔扇门的那一面在想什麽,我非常想知道。平时我们像这样一张隔扇门隔开而互相保持沉默的时候是常有的,若是在平常,K越是安静,我就越忘了他的存在,而此时,必须承认我相当地乱了分寸。而最终我也没能打开隔扇门。一旦失去了说话机会的我,只有等待对方行动的时机。(夏目漱石 未完待续)(翻译者 吉田裕佳) 訳文:《先生和我之六》: 《先生和我之六》∶我们两人各自回到自己的房间后,一次也没再见面了。K和早上一样很安静。我也一直沉思。我想当然我应该向K说出自己的心里话。同时,也想那将会错过时机。刚才K说话的那时候,我为什么打断他的话而我不还击呢? 我感到这一点就是很重要的遗漏。我也这么想。哪怕K说完后我马上就说我的意见也好。K的坦白已经告了一段落。现在可以由我还提起那个话题吗?怎么想也很奇怪。我不知道如何打破这种不自然的情况的办法。强烈的悔恨使我头晕。我想K再拉开隔扇门从他的那边房间进来就好了。对我来说,那时候我将好像被突然袭击一样吧。我没有什么准备来对付他。我企图下次把上午失去的东西夺回来。于是我多次把眼珠儿朝上看着隔扇门。可是无论我等到什么时候那扇隔扇都一直不开。K依然很安静。过了一会儿,这个安静渐渐地扰乱起我的思考来。我一直疑心疑鬼地在猜着他在隔扇门的那一边怎样想,疑问让我受不了了。我们两个人时常隔一扇隔扇门而这样不说话。通常,他越安静,我就越忘了他的存在。所见那时候的我相当失常了。在这样的情况下,我也没有亲自拉开隔扇门的勇气。我错过机会没说话,只好等K再次行动起来。(翻译者 森冈 洋子) |