日中翻訳コンテスト  2007年6月

           


2007年6月の優秀答案当選者5名: 石井樹理(福岡県)、今井美絵(京都府向日市)、垣谷好子(奈良市)、深澤安利子(広島県岩国市)、栗原忠義(福島県)


「窓を通して見えるもの」:岩倉に住んで5年になる。岩倉は静かで、時間を忘れる。戯曲を書くのが仕事なので、書く場所がどのような音に囲まれているのかがとても気にかかる。それから、窓。書くときに、窓から何が見えるかというより、外の空間が窓枠によって区切られているのを、その窓と一緒にぼんやり見ている、というのが重要なのだ。ある程度静かで窓があれば筆がすすむ。こんなに世界は広いのに、それが窓で区切られているのは何だか途方もないことのように思える。考えてみれば、私がこの家のこの部屋で、この場所からたまたまこの時間の外の風景を見ているというのは奇跡のようだ。どんな風景であれ、窓は世界を区切っている。世界は窓によって選ばれて窓の外の風景を見せている。その窓の力で「せりふ」が書けないものかと思う。ものを書くことも、何かしら世界を区切って紙に写しているような気がするからだろう。(松田正隆)

《窗外看到的世界》我在岩仓住了5年了。岩仓是一个十分清静的地方,清静得往往让人忘却了时间。我的工作是写作戏剧台本。书斋的周围的声音常常令我分心。此外,令我分心的还有窗户! 写作的时候,透过窗户能看到什么倒不重要,重要的是,窗户把我的外部世界加上了框。我就通过这个框心不在焉地往外看。安静的书斋再加上一扇窗户,我的笔就停不下来。真是奇妙,这么广阔的世界,居然被窗框割成一小块儿一小块儿的。我浮想联翩,我不就在这个家里,不就在这间屋里,不就在此时此刻所看到这儿的风景,难道不就是一个奇迹吗。不管是什么样的风景都是通过各种各样的窗户来观察的。也就是说,世界是通过各种各样的窗户所展现出来的。「窗之力」不就是「写台词之力」吗。我想: 人们不论写什么不都是把切成小块儿的世界写在纸上的吗。(翻译者:石井树理)