日中翻訳コンテスト  2006年8月

                  


2006年8月の優秀答案当選者5名: 田中幸夫横浜市)、橋本明(高知市)田原千賀子(仙台市)、小野さとこ(岩手市)、土肥佐治(静岡県浜松市)

「相手依存の自己規定の3」: 今述べたような極めて印象的で大づかみな日本人の自我の構造は、私の考えでは、私たちの人間関係の把握の様式と深い関係がある。それは、日本人は自分がなんであるかという自己同一性の確認を他者を基準にして行う傾向が強いからである。他者の存在をまず前提とし、自己をその上に拡大投影して自他の合一を図るか、他者との具体的な関係において、自己の座標を決定しながら自己確認を行うかのどちらかの方式をとる。どちらも相手を基準とする自己確認である点では共通のものと言える。今述べた点を、もっと具体的な事実に基づききながら説明しよう。現代の標準日本語には、話し手が自分を表す一人称代名詞、そして相手を示す二人称代名詞が、それぞれ数個もあることが知られている。ところが実際に、ある特定の人物を限って、その人が日常の生活の中で自分および相手をどのように言語で表現しているかを調査してみたところ、意外な結果が出たのである。第一に、人称代名詞を使用する範囲が意外に限られているという事実である。それでは代わりに何を使っているかというか、自分および相手の、広い意味での資格や地位を表す言葉が使用されていることが分かった。つづき (鈴木孝夫)



参考译文「依存于对方的自我约束之三」:「如前所述,我认为,给人留下极其深刻印象的大而化之的日本人的心理状态与其处理人际关系的模式的二者之间有很深的关系。日本人的「自我」究竟是什么呢? 自我的同一性的确认却以他人的评判为基准的倾向十分强烈。要么首先以对方的存在为前提,扩大自己的投影面,力图使自身和他人合二而一,要么靠自己和对方的具体关系来决定自己的坐标。日本人往往在这两个方式中选择一个来确认自己的存在。这两种方式的共同点都是把对方作为基准来确认自己的存在。我用更具体的事实来说明刚才所阐述的论点吧: 在现代日语中,说话的人用第一人称代词来表达自己,用第二人称代词来代表对方。众所周知,这些人称代词不只一个。然而,在实际上, 我们选定一个特定的人物,调查他在日常生活中用什么样的语言来称呼自己和称呼对方。调查获得了令人意外的结果。其一,是使用人称代词的范围意外地狭窄。那么他到底使用什么来替代称呼呢?调查结果表明:他使用广义上能代表自己或对方的资格或地位的语言来称呼。」(翻译者:田中幸夫)