日中翻訳コンテスト  2005年10月

           


2005年10月中訳の優秀答案当選者5名:(首選者)尾張佳光(京都市今井美絵(京都府向日市)田村幸子(高松市)内田直美(佐賀県)安田進(青森県

晩夏の蝉の2: 彼女の小さい弟の蝉捕りを手つだううちに私たちのほうがはじめての遊びに熱心になったが、蝉が集まる木をねらってもなかなか捕虫網に入らなかった。地元の男の子たちは、クモの巣の糸を二股の小枝にからめて作った、Y字型のねばっこい網を棒の先につけて蝉をとらえた。手づかみで捕る名人もいた。名人は、まず木の幹にとまっている蝉をいっとき睨んで目測し、蝉から見えない幹の裏側へまわってぱっと手をのばしてつかまえる。私はいつも感心して見とれた。ある日遊びに行く途中で、一匹の蝉が私の頭上をジジジと鳴いてかすめ、道ぞいの池に咲き残った蓮の花の太い柄にとまってしずかになった。クモの糸を張った網があれば、わけなく生け捕りにできそうな近さだ。しかしその池の泥にはまって死んだ子がいると伯母から聞いていたので、私は用心して道端にも近寄らずに蝉を眺め続けた。坪田穣治の「せみと蓮の花」の中に、蓮の花の柄にとまったジイジイセミを少年が眺め続ける場面が印象的に描かれている。はじめて読んだとき、あの日の私の体験にそっくりだなあと敗戦の夏を思いだした。それにしても、蓮の花の香は蝉の好みなのだろうか。



参考訳文:「晚夏的蝉(二):从帮助她的小弟弟捕蝉开始,我们也迷上了这个新的游戏。但是,即使找到了停着很多蝉的树,也难把蝉捕到网里去。当地的男孩们把蜘蛛网绕在小树枝叉上,再绑到棒子头上,做成一种粘粘的Y字形网。那时,有一位用手捕蝉的高手,他先仔细观察停在树干上的蝉, 然后躲到蝉看不见的树干后面,突然伸出手去把蝉捉住。我每次看到都很佩服。有一次,在我去玩的路上,一只蝉吱吱地鸣叫着从我的头上飞过,停在路旁的水池里莲花开过的叶梗上,静了下来。我离开蝉很近,我想如果我有绕蜘蛛网的棒,就可以简单地捕到它。但我听伯母说过,水池里有陷进泥里淹死的孩子,所以我小心地,不离路边太近地直盯着那只蝉,盯着看了很长时间。儿童文学家的坪田穰治的作品《 蝉和荷花》中少年盯着看一只吱吱叫着的蝉停在莲花梗上的场面给人留下了生动的印象。我第一次读这本书的时候,就联想起了和书里描写的极为相像的败战的那一个夏日里的体验。不过,蝉真的喜欢荷花的香味吗?(翻訳者:尾張佳光)