『細雪』是谷崎潤一郎50歳時期的長編小説。小説以1936年(昭和11年)秋到1941年(昭和16年)春期間大阪的妻子的娘家為舞台、描寫當時阪神地區的中流上層的摩登女性四姉妹的日常生活中的悲喜的作品。故事中本家女主人大姐鶴子, 及分家女主人二姐幸子以作者之妻為模特爾。三姐雪子,四妹妙子。圍繞雪子和妙子提親,拒婚,以及幸子的婚姻生活, 展開故事, 故事從戰前開始描述,途中中斷,直到戰後的1948年才最終完成。故事被搬上舞台,並多次被拍攝成電影。本サロンは2023年1月から12月まで12回分けて『細雪』の弟一部の全部および弟二部の一部分を翻訳コンテストを採用させて頂きます。 2023年6月の日中翻訳優秀答案当選者7名: ★小林里香 ★兼宗遥 江田忠衛 周静芳 田村美恵子 江川美帆 周雅琴 努力翻訳者: 劉倩影, 鈴木早苗、井上脩広、田中清、趙仲輝
『谷崎潤一郎 細雪―6』: それきり暫く音沙汰がなかったので、自分は忘れかけていたのであったが、先方ではその間にお宅さんのことを調べた模様で、大阪の御本家のこと、御分家のお宅さんのこと、それから御本人のことについては、女学校へも、習字やお茶の先生の所へも、行って尋ねたらしい。それで御家庭の事情は何も彼も知っていて、いつかの新聞の事件なども、あの記事が誤りだと云うことはわざわざ新聞社まで行って調べて来ているくらいなので、よく諒解していたけれども、なお自分からも、そんなことがあるようなお嬢様かどうかまあお会いになって御覧なさいと云って、納得が行くように説明はしておいた。先方は謙遜して、蒔岡さんと私とでは身分違いでもあり、薄給の身の上で、そう云う結構なお嬢様に来て戴けるものとも思えないし、来て戴いても貧乏所帯で苦労をさせるのがお気の毒のようだけれども、万一縁があって結婚出来るならこんな有難いことはないから、話すだけは話してみてほしいと云っている。自分の見たところでは、先方も祖父の代までは或る北陸の小藩の家老職をしていたとかで、現に家屋敷の一部が郷里に残っていると云うのであるから、家柄の点ではそう不釣合でもないのではあるまいか。(504) |