『山月記』簡介:這是日本明治時代的年輕作家中島敦根據唐代的一個怪異事件改寫的短篇小說。隴西人李徵年輕有為科舉考上進士。但是他為人清高.不願在官僚前卑躬屈膝而以詩人得名。他選擇了退官做詩人的道路。然而退官後陷入困窮。因而再度屈就官職。李徵在自尊心受到嚴重挫折下去河南出差,一天晚上,精神錯亂的李徵去向不明。一年後,昔時舊友袁傪在路過李徵失蹤地時偶然發現搔擾當地人的食人虎竟是李徵,在舊友前傾吐了內心後的李徵再次消失在草叢中。中國文化沙龍從2022年1月到12月分12次連載。
2022年1月優秀当選者6名: ★李筱文 ★江川美帆 ★小林里香 平田幸恵 高村真美子 河野光雄 翻訳努力当選者:6名: 土肥良美 周新岡 菊池康行 竹内悦子 坂本月美 酒井和枝
『中島敦 山月記−1』: 隴西(中国地名甘粛省)の李徴は博学才穎、天宝の末年(紀元756年)、若くして名を虎榜(進士合格発表の知らせ)に連ね、ついで江南尉(中国長江南のある役所の刑部ポスト)に補せられたが、性、狷介(けんかい 孤高)、自ら恃むところ頗る厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった。いくばくもなく官を退いた後は、故山、虢略(地名:中国河南省)に帰臥し、人と交を絶って、ひたすら詩作に耽った。下吏となって長く膝を俗悪な大官の前に屈するよりは、詩家としての名を死後百年に遺そうとしたのである。しかし、文名は容易に揚らず、生活は日を逐うて苦しくなる。李徴は漸く焦躁に駆られて来た。この頃からその容貌も峭刻(しょうこく 厳しい且つ険しい様)となり、肉落ち骨秀で、眼光のみ徒らに炯々として、曾て進士に登第(進士試験合格)した頃の豊頬の美少年の俤は、何処に求めようもない。数年の後、貧窮に堪えず、妻子の衣食のために遂に節を屈して、再び東へ赴き、一地方官吏の職を奉ずることになった。一方、これは、己の詩業に半ば絶望したためでもある。曾ての同輩は既に遥か高位に進み、彼が昔、鈍物として歯牙にもかけなかったその連中の下命を拝さねばならぬことが、往年の儁才李徴の自尊心を如何に傷けたかは、想像に難くない。彼は怏々として楽しまず、狂悖の性は愈々抑え難くなった。(470) |