日中翻訳コンテスト  20159

                 

 


 

2015年9月の優秀答案当選者5名: 伍育萱、伊藤佐和子、武雄正志、田村幸子、劉基輝

「家(上)の9」:そればかりでは無い。達雄は地方の紳士として、外から持込んで来る相談にも預かり、いろいろ土地の為に尽くさなければならない事も多かった。もっとも、政党の争いなどはなるべく避けている方で、祖先から伝わった業務の方に主に身を入れた。達雄の奮発と勉強とは東京から来た三吉を驚かした位である。 三吉が着いて三日目にあたる頃、連れの直樹は親戚の家へ遊びに行った。その日は午後か達雄も仕事を休んで、奥座敷の方に居た。そこは家のものの居間にしてあるところで、襖一つ隔てて娘達の寐る部屋に続いている。「お仙や。」とお種は茶戸棚の前に坐りながら呼んだ。お仙は次の新座敷に小机を控えて、余念もなく薬の包み紙を折っていたが、その時面長な笑顔を出した。「お前さんも御休みなさい。皆なで御茶を頂きましょう」 とお種に言われて、お仙は母の側へ来て、近過ぎるほど顔を寄せた。母の許しを得たということがこの娘に取って何よりも嬉しかった。三吉も入って来た。「貴方。」とお種は夫の方を見て、「ちょっとまあ見てやって下さい。三吉がそこへ来て坐った様子は、どうしても父親さんですよ……手付なぞは兄弟中で彼が一番よく似てますよ。」 「阿爺もこんな不恰好な手でしたかね。」と三吉は笑いながら自分の手を眺める。 お種も笑って、「父親さんが言うには、三吉は一番学問の好きな奴だで、彼奴だけには俺の事業を継がせにゃならん……何卒して彼奴だけは俺の子にしたいもんだなんて、よくそう言い言いしたよ。」  三吉は姉の顔を眺めた。「あの可畏い阿爺が生きていて、私達の為(し)てることを見ようものなら、それこそ大変です。弓の折れかなんかでぶたれるような目に逢います。」 「しかし、お前さん達の仕事は何処へでも持って行かれて都合が好いね」とお種が笑った。

「家()9: :仅仅如此,达雄身为乡绅,除了接受外来的商谈之外,为当地尽力而为之事也少不了。他原本是一位尽量回避政党之争的人,是一心投入从祖先承下来的事。达雄发奋努力的精神令从京来的三吉十分惊。三吉来儿的第三天,和他一起来的直戚家去玩了。那天下午,达雄也放下手的工作,待在里面的房,那儿被当作家里人的起居室。隔着一扇拉门就是女儿女仆的房。“阿仙啊。” 阿种坐在柜子前叫着。阿仙那正在隔壁的新房间里的小茶几上心一意地折着包药纸。但她的鸭蛋上却挂着笑容。阿种着隔壁:“你也该歇歇,大家一起過来喝喝茶吧。”  阿仙走过房间到母身旁,把脸近得不能再近地紧紧凑到母亲的脸前。妈妈的招唤让女儿很开心。这时三吉也走了来。阿种着丈夫:“达雄” ,看看,三吉坐在这儿的子,跟爸爸简直没两样儿……。他的手的动作在兄弟之中就属他最像父了呀。” 三吉看着自己的手笑着:“父的手也是这样不好看吗。”阿种笑着:“父亲常常念叨,三吉小子最好学了,不能不让小子承咱家的事业……。”三吉望着姐姐:“如果那位叫人可畏的父亲还在世,看到我们现在在做的事儿,那可不得了。他一定会被气得用折断的弓什么的打我们吧。” 阿种笑着:“哪里哪里,们做的事儿不论到哪儿都吃得开呀。(翻译: 伍育萱 佐藤佐和子)