日中翻訳コンテスト  2011年9月

            


2011年9月の優秀答案当選者5名: 尾張佳光、張超、劉慶雲佐藤美枝子、田村菜香

「蟹工船 2011-09」 ―彼は急に立ち上ると、気が狂ったように、「駄目だ、駄目だ!」と皆の中に飛びこんで、叫び出した。(彼は前の時は、自分でその壁を作ったことがあった。そのときは何んでもなかったのだったが)「馬鹿野郎! ここさ火でも移ってみろ、大損だ。」  だが、だんだん声の低くなって行くのが分るではないか! 彼は何を思ったのか、手を振ったり、わめいたりして、無茶苦茶に坑道を走り出した。何度ものめったり、坑木に額を打ちつけた。全身ドロと血まみれになった。途中、トロッコの枕木につまずいて、巴投げにでもされたように、レールの上にたたきつけられて、又気を失ってしまった。
 その事を聞いていた若い漁夫は、「さあ、ここだってそう大して変らないが……」と云った。 彼は坑夫独特な、まばゆいような、黄色ッぽく艶のない眼差を漁夫の上にじっと置いて、黙っていた。 秋田、青森、岩手から来た「百姓の漁夫」のうちでは、大きく安坐をかいて、両手をはすがいに股に差しこんでムシッとしているのや、膝を抱えこんで柱によりかかりながら、無心に皆が酒を飲んでいるのや、勝手にしゃべり合っているのに聞き入っているのがある。

小林多喜二 続く)
译文 蟹工船 2011-09 他突然站了起来。发疯似地一边喊道:「糟了!糟了!」一边跳到大伙儿中间,(他就在这之前自己亲手制作了那壁墙,不过那时什么也没有发生。)  「王八蛋!火烧到这儿就惨了。」 但是,渐渐地,说话的声音越来越低,不过那时谁也不在意。不知他想干什么,他一边挥着手,一边大声叫唤着,歪歪倒倒地跑出坑道。 他跌跌撞撞,头撞到坑木上,周身满是泥土和血迹。途中,他被翻斗车轨道上的枕木绊倒。全身被摔倒在轨道上,又昏迷了过去。年轻渔夫听到他的讲述后说道:「这儿,恐怕也没什么两样…」。他用坑夫那独特的,眨巴的,黄而无光的眼神盯着说这话的那渔夫,沉默了。从秋田、青森、岩手来的一个「农闲」渔夫、大张着两腿盘坐在地板上,把双手斜着插进腿缝,显得闷闷不乐,还有人,抱着膝盖,靠着柱子,一个劲儿地和大家一起喝酒,也有人,竖起耳朵听着旁边言语交错的谈话…

(小林多喜二 待续 翻译者:尾张佳光)