日中翻訳コンテスト  2007年3月

         


2007年3月の優秀答案当選者5名: 冷静(東京都)、垣谷好子(奈良市)、蘆田平(岐阜県高山市)、深澤安利子(広島県岩国市)、今西有美(和歌山市)


「21世紀の中国」:出張で訪れた北京は、2月だというのに拍子抜けするほどの暖かさだった。昼過ぎ、取材に行こうとタクシーに乗ると車内に英会話のテープが流れている。「五輪に向けて運転手さんも勉強か」と感心した。窓ガラス越しに差し込む陽光で車の中は汗ばむほど。足の裏がかゆくなったので、何げなく靴を脱ぎ、靴下の上から土踏まずのあたりをポリポリとかいた。その時。運転手が振り向いて「没有文明」!」と、ののしるではないか。その言い方にカチンときた。「タクシーで靴を脱いではいけなくなったんなんて初耳だ」と言い返すと、運転手は「知らないのか。これが21世紀の新中国だ!」自分の行儀の悪さを棚に上げて言うのも何だが、北京のタクシーではたばこ吸い放題、運転手が窓から道路にたんを吐くのもよくある光景ではなかったか。五輪を控えマナー向上が急務とはいえ、急に神経質になられてもこちらが面食らうというものだ。気になって別のタクシーの運転手に意見を聞いた。「お客さんの足が臭くても、そっと窓を開けて気づいていただくのがサービス業です」。やけに丁寧だ。そうですよねと、うなずきながら「うかうかしていると時代に取り残される」と肝に銘じだ。(林望)
 



《二十一世纪的中国》我因出差来到了北京。今年二月,天气反常地暖和。下午、我去采访乘坐的出租车里流放着英语会话的磁带。为了迎接奥运会,连司机师傅也在学习,真让人佩服啊。阳光透着玻璃窗射进来,我有些微微冒汗。脚掌发起痒来,我无意识地脱下鞋子透过袜子搔搔脚心。就在这时,司机猛地转过身来,冲着我说:“没有文明!” 这不是在骂我吗?  听到这句话我光火了,回嘴说:“我还是头一次听说出租车里不能脱鞋!”司机说:“你不知道吗?这是21世纪的新中国啊!” 暂且不说我自己的不雅。北京的出租车里,抽烟的抽烟、司机往窗外吐痰的吐痰,不是司空见惯吗? 虽说,面临奥运会提高文明程度是当务之急,但突然变得这么神经质不免令人不知所措。心里搁着这件事儿我听听别的出租车司机的意见。一位司机说:“即使客人脚臭,有意识地悄悄打开窗户,这就是我们的本行”。 这位司机可真周到啊。可不是吗,我点着头说:“一不注意就落后于时代了。” 这事儿给我留下的印象可真是刻骨铭心”(作者:林望 翻译者: 冷静,垣谷好子)