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山口県下関市にある「日清講和記念館」
写真：王宏領
明治28年（1895年）3月20日から、料亭「春帆楼」において日清戦争の講和会議が開催された。この会議には日本全権の伊藤博文、陸奥宗光、清国全権の李鴻章をはじめ両国の代表11名が出席しました。講和に向けて会議はくり返し行われ、4月17日に講和条約が調印されました。
この記念館は、日清講和会議と下関講和条約の歴史的意義を後世に伝えるため、昭和12年（1937年）6月、講和会議の舞台となった「春帆楼」の隣接地に開館されました。講和会議で使用された調度品、両国全権の伊藤博文や李鴻章の遺墨などを展示しています。また、館内中央には講和会議の部屋を再現し、当時の様子を紹介しています。
春帆楼は、もと阿弥陀寺の方丈のあった所で、同寺が廃寺となった後、もと豊前の国の眼科医藤野玄洋が買収して、医院を営んでいた所でありますが、玄洋の死後、未亡人ミチが旅館兼料亭として経営し、明治28年（1895年）3月に開かれた日清講和会議の会場に使用されたことにより、一躍全国にその名を知られるようになりました。
講和会議の由来は、日本明治維新以来、領土拡張や殖民地を目指して、西方の大陸を虎視耽耽。1860年代半ば以降、日本はフランス、アメリカなど列強国家とともに、朝鮮王朝に開国を迫っていた1876年に日朝「江華条約」で朝鮮を開国させました。しかし、朝鮮は清国の属国の関係もあり、日中は、朝鮮での衝突はますます激しくなっていきます。
1894年春、朝鮮南部で大規模な農民の反乱「東学党蜂起」が起こりました。役人による不当な課税などに対して民衆が怒り、そのころ朝鮮で広まっていた新興宗教「東学」の指導者を中心に武力蜂起したのです。朝鮮政府は清朝の軍事制圧を要請、2000人余りの軍隊が派兵されました。最初は、日本の態度は「とっくに気にしない」と言明しながら、清朝軍隊は入朝の際、「大使館と日本人を保護」の口実で、朝鮮への出兵を決定、およそ4000人を送りました。日清両国軍の介入に危機感をもった朝鮮政府と農民軍は和約を結び、反乱はいったん収まります。
日本政府は清国の影響を排除して独力で朝鮮の内政改革にあたるとして、そのまま兵を置くことを決めました。そして、清朝の軍隊を追いかけて、朝鮮王宮を占領。清国寄りの政権を倒し、国王の父で日本を支持していた大院君（テウォングン）を政権の座につけました。そして排日の王妃を暗殺しました。これらにより日本は、朝鮮での権利が確保しました。
1894年７月25日、プンド（豊島）沖で遂に清国の北洋艦隊を突襲、日清戦争が始まりました。戦火は黄海、奉天にまで及び、日本は1895年に山東の威海を占領（その年、尖閣諸島を占用）。清朝は敗戦し、平和条約を日本に求めました。
その背景で、清朝は講和会議を要求して、明治28年（1895年）3月20日、日本の下関（そのとき馬関）日清戦争の講和会議が開催されました。清国側の全権は李鴻章。日本側の全権は伊藤博文首相と陸奥宗光外相です。交渉で日本は、日本の国家予算の４倍以上にあたる「３億両の賠償金」。「遼東半島・台湾・澎湖諸島を日本に譲ること」。加えて「清の重要な港を開港する」ことを要求しました。４月に、賠償金２億両で合意、以外は、ほぼ日本の要求通りで合意に達し、日清講和条約、いわゆる下関条約が結ばれました。
この条約で、清朝政府の腐敗と無能が世界に暴露されました。その後の辛亥革命の火の種も撒きました。日本は近代の初めての戦争で大勝利を収め、その後の東南アジアと中国大陸の侵略の大失敗の前奏と言われるのも間違いではありません。
日清戦争の講和会議の位置
関門海峡から下関へ見る風景、この橋は鉄道専用です、高速道路は橋下海底のトンネルを通過する。（写真：王宏領）
講和会議の舞台となった「春帆楼」の側面（写真：王宏領）
講和会議の舞台となった「春帆楼」の正面玄関（写真：王宏領）
講和会議の部屋は会議の様子を再現（写真：王宏領）
田中（日本国使節団随員） 伊東巳代治（日本国使節団随員） 陸奥宗光（外務大臣） 伊藤博文（内閣総理大臣） 李経方（欽差大臣） 李鴻章（北洋大臣直直隷総督） 伍廷芳（清国使節団随員） 羅（清国使節団随員）
講和会議の部屋の清国側（写真：王宏領）
講和会議の部屋の日本側（写真：王宏領）
李鴻章（北洋大臣直直隷総督）
李鴻章（北洋大臣直直隷総督）の名札（写真：王宏領）
明治28年(1895年)3月24日、第3回目の会議を終えた李鴻章は、宿舎である引接寺への帰途、小山豊太郎という青年に狙撃された。この事件によって会議は一時休会し、負傷した李鴻章には明治天皇をはじめ各方面からも多くの見舞いが寄せられた。そのかいもあり、まもなく李鴻章は快復し、4月10日に会議は再開された。
事件後、李鴻章は大通りを避け、山沿いの小径を往復した。この小径は、いつしか「李鴻章道」とよばれるようになった。（写真：王宏領）
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情報更新は２０１４年１月２５日
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