夏目漱石 「三四郎」の 6: 三四郎は大きな声で、「いえ、たくさんです」と断った。しかし女は出ていかない。かえってはいって来た。そうして帯を解きだした。三四郎といっしょに湯を使う気とみえる。べつに恥かしい様子も見えない。三四郎はたちまち湯槽を飛び出した。そこそこにからだをふいて座敷へ帰って、座蒲団の上にすわって、少なからず驚いていると、下女が宿帳を持って来た。三四郎は宿帳を取り上げて、福岡県京都郡真崎村小川三四郎二十三年学生と正直に書いたが、女のところへいってまったく困ってしまった。湯から出るまで待っていればよかったと思ったが、しかたがない。下女がちゃんと控えている。やむをえず同県同郡同村同姓花二十三年とでたらめを書いて渡した。そうしてしきりに団扇を使っていた。やがて女は帰って来た。「どうも、失礼いたしました」と言っている。三四郎は「いいや」と答えた。三四郎は鞄の中から帳面を取り出して日記をつけだした。書く事も何もない。女がいなければ書く事がたくさんあるように思われた。すると女は「ちょいと出てまいります」と言って部屋を出ていった。三四郎はますます日記が書けなくなった。どこへ行ったんだろうと考え出した。そこへ下女が床をのべに来る。広い蒲団を一枚しか持って来ないから、床は二つ敷かなくてはいけないと言うと、部屋が狭いとか、蚊帳が狭いとか言ってらちがあかない。めんどうがるようにもみえる。しまいにはただいま番頭がちょっと出ましたから、帰ったら聞いて持ってまいりましょうと言って、頑固に一枚の蒲団を蚊帳いっぱいに敷いて出て行った。それから、しばらくすると女が帰って来た。どうもおそくなりましてと言う。蚊帳の影で何かしているうちに、がらんがらんという音がした。子供にみやげの玩具が鳴ったに違いない。
夏目漱石「三四郎」之六:“不,不用了。”三四郎大声拒绝道。但女子并没有离开,反而走了进来。她宽衣解带,似乎是要和三四郎一同洗澡的意思,一点儿也不觉得尴尬。三四郎猛然从澡桶里跳了出来,匆忙擦了擦身子,回到了房间。他坐在座垫上惊魂未定,女仆拿来一个住宿登记薄。三四郎接了过来,工工整整地写着:“福冈县京都郡真崎村,小川三四郎,二十三岁,学生。”该写到女子了,三四郎有些不知所措,心想着等她洗完回来再说,可女仆一直在旁边等着。无可奈何,三四郎只好胡写一通:“同县同郡同村同姓,名花,二十三岁。”然后递给了女仆,接着不停扇着扇子。不久,女子回来了。她说:“实在是不好意思,失礼了。”“没关系。”三郎回答道。三四郎从包里拿出一个本子打算写日记,可没什么可写的。看似倘若这女子不在一旁,或许可以奋笔疾书。于是女子说了声“我出去一下”便离开了房间。三四郎更写不下去了,他在想这女子去哪儿了。这时女仆来铺床,可只抱来一床大被子。三四郎告诉她得铺两张床才行。女仆说,房间太窄,蚊帐太小,想应付了事,看样子是她嫌麻烦。最后,她说老板目前没在,等回来问问他再拿来。说完硬是把一床被子塞满了蚊帐,然后离开了房间。过了片刻,女子回来了。“不好意思,回来得太晚了。”她说道。然后隔着蚊帐玩弄些什么东西,不时发出哐啷哐啷的声响,显然是给孩子买的玩具发出的声音。(翻译:
钟子龙)
夏目漱石「三四郎」の6:“不!够了够了。” 三四郎大声嚷嚷着拒绝了。
可是女人没有出去,相反地进来了,并且脱衣解带,看来是想和三四郎一起洗澡,完全没有什么害羞的样子。三四郎吃惊得立刻从澡盆里蹦了出来、用毛巾这里那里胡乱擦擦,回到房间坐到座垫上、心里扑通扑通吃惊不小。这时女仆拿来了住宿簿。三四郎接过来,老老实实填写上;“福冈县京都郡真崎村
小川三四郎 二十三岁 学生”,填到同行人身份的时候却相当为难了的,想等她洗澡回来再填为好吧, 但女仆却等着填写完。没法子,填写上:「同行人:同县同郡同村,同姓, 花 二十三岁」 交给了女仆。然后,一个劲儿地摇着团扇。不一会儿,女人洗澡回来了,对三四郎说:“刚才太失礼了。” 三四郎回答说:“哪里哪里,没事儿。” 三四郎从包里取出日记本想写日记, 可没什么写的。他想要是女人不在这儿的话,想写的事儿还真不少。正这样想的时候,女人说:”我想出去一下儿”,就走出了房间。三四郎越来越没有心思写日记了。他心里老在嘀咕:她去哪儿了呢? 这时,女仆来铺被褥了。她只拿来一床宽大的褥子。三四郎对她说:得铺两床褥子吧。女仆的回答是房间窄,蚊帐也窄什么的没完没了,一幅不耐烦的样子。最后推口说:大伙计不在,等他回来后我再拿来吧。说着说着把一床褥子满铺在蚊帐里就出去了。又过了一会儿,女人回来了。嘴里说着:“回来晚了真对不起”。透过蚊帐看到的人影在做什么,传来了哐啷哐啷的声音,没错儿是孩子的玩具发出的声音吧。(翻译: 小林里香) |