日中翻訳コンテスト 2019年11月
2019年11月の優秀答案当選者3名:★季植柳 川村幸雄 田辺誠 翻訳努力当選者3名:伊藤佐和子
江川美帆 田辺美江
(江戸川乱歩 「怪人二十面相」の11): 夜を徹して、三人の非番警官と、三人の秘書と、自動車運転手とが、手わけをして、各出入り口をかため、あるいは邸内を巡視する手はずでした。 羽柴夫人と早苗さんと壮二君とは、早くから寝室にひきこもるようにいいつけられました。 大ぜいの使用人たちは、一つの部屋にあつまって、おびえたようにボソボソとささやきあっています。 壮太郎氏と壮一君は、洋館の二階の書斎に籠城することになりました。書斎のテーブルには、サンドイッチとぶどう酒を用意させて、徹夜のかくごです。 書斎のドアや窓にはみな、外がわからあかぬように、かぎや掛け金がかけられました。ほんとうにアリのはいいるすきまもないわけです。 さて、書斎に腰をおろすと、壮太郎氏が苦笑しながらいいました。「少し用心が大げさすぎたかもしれないね。」「いや、あいつにかかっては、どんな用心だって、大げさすぎることはありますまい。ぼくはさっきから、新聞のとじこみで、『二十面相』の事件を、すっかり研究してみましたが、読めば読むほど、おそろしいやつです。」 壮一君は真剣な顔で、さも不安らしく答えました。「では、おまえは、これほどげんじゅうな防備をしても、まだ、賊がやってくるかもしれないというのかね。」「ええ、おくびょうのようですけれど、なんだかそんな気がするのです。」「だが、いったいどこから? ……賊が宝石を手に入れるためには、まず、高い塀を乗りこえなければならない。それから、大ぜいの人の目をかすめて、たとえここまで来たとしても、ドアを打ちやぶらなくてはならない。そして、わたしたちふたりとたたかわなければならない。しかも、それでおしまいじゃないのだ。宝石は、ダイヤルの文字のくみあわせを知らなくては、ひらくことのできない金庫の中にはいっているのだよ。いくら二十面相が魔法使いだって、この四重五重の関門を、どうしてくぐりぬけられるものか。ハハハ……。」壮太郎氏は大きな声で笑うのでした。でも、その笑い声には、何かしら空虚な、からいばりみたいなひびきがまじっていました。
(江户川乱步 《怪人二十面相》之11)一整夜,三名不当班的警察以及三个秘书、小车司机等人兵分几路,或把守各个出入口,或巡视宅子内部。羽柴夫人和早苗小姐以及壮二早早地就乖乖地躲进各自的卧室里。众仆人都挤在一间房间里,胆战心惊地窃窃私语。壮太郎和壮一固守在小洋楼2楼的书房里,书桌上摆着三明治和葡萄酒,两人做好了在这儿守通宵的准备。书房的房门、窗户都从里面上锁或是挂上门划、窗划,无法从外侧打开,戒备森严地连只蚂蚁也别想爬进去。“只是小心点儿却弄得大张旗鼓,可能过份了吧。”壮太郎在书斋坐下来,苦笑着说道。壮一却是一脸严肃,还带着些许不安:“二十面相这样的大盗使用的手段,什么防范都不为过,我刚才把报纸上有关二十面相大盗的相关报道整理在一起,好好研究了一下他犯过的案子,越研究越觉得这盗贼真是个可怕的家伙”。“不过,你认为即使我们布置得这么周密,那盗贼还会来吗?”“哪怕是杞人忧天了,我还是觉得他今晚会来。”“即使来,他能从哪儿进来呢?
想要靠近宝石,首先要越过高墙,要躲过众人的监视,要破门而入,最后还要放倒咱们俩。即便他都能做到,最后还有一关要过,不破解保管钻石的金库的文字密码就无法打开金库,任那二十面相大盗再神通广大,也不可能突破这重重关卡吧,哈哈哈……“壮太郎大笑几声,可这笑声听上去,却参杂着一种虚张声势的不安的感觉。 (翻译:季植柳 编者稍有修改
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