2017年1月の優秀答案当選者3名:★熊谷鐘蘭、伊藤佐和子、石山達男。翻訳努力当選者4名:吉岡美紀、江川美帆、西尾直美、神谷章人
「夏目漱石
坊っちゃん
之1」 親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。小学校に居る時分学校の二階から飛び降りて一週間ほど腰を抜かした事がある。なぜそんな無闇をしたと聞く人があるかも知れぬ。別段深い理由でもない。新築の二階から首を出していたら、同級生の一人が冗談に、いくら威張っても、そこから飛び降りる事は出来まい。弱虫やーい。と囃したからである。小使に負ぶさって帰って来た時、おやじが大きな眼をして二階ぐらいから飛び降りて腰を抜かす奴があるかと云ったから、この次は抜かさずに飛んで見せますと答えた。 親類のものから西洋製のナイフを貰って奇麗な刃を日に翳して、友達に見せていたら、一人が光る事は光るが切れそうもないと云った。切れぬ事があるか、何でも切ってみせると受け合った。そんなら君の指を切ってみろと注文したから、何だ指ぐらいこの通りだと右の手の親指の甲をはすに切り込んだ。幸ナイフが小さいのと、親指の骨が堅かったので、今だに親指は手に付いている。しかし創痕は死ぬまで消えぬ。庭を東へ二十歩に行き尽すと、南上がりにいささかばかりの菜園があって、真中に栗の木が一本立っている。これは命より大事な栗だ。実の熟する時分は起き抜けに背戸を出て落ちた奴を拾ってきて、学校で食う。菜園の西側が山城屋という質屋の庭続きで、この質屋に勘太郎という十三四の倅が居た。勘太郎は無論弱虫である。弱虫の癖に四つ目垣を乗りこえて、栗を盗みにくる。ある日の夕方折戸の蔭に隠れて、とうとう勘太郎を捕まえてやった。その時勘太郎は逃げ路を失って、一生懸命に飛びかかってきた。向うは二つばかり年上である。弱虫だが力は強い。鉢の開いた頭を、こっちの胸へ宛ててぐいぐい押した拍子に、勘太郎の頭がすべって、おれの袷の袖の中にはいった。邪魔になって手が使えぬから、無暗に手を振ったら、袖の中にある勘太郎の頭が、右左へぐらぐら靡いた。しまいに苦しがって袖の中から、おれの二の腕へ食い付いた。痛かったから勘太郎を垣根へ押しつけておいて、足搦をかけて向うへ倒してやった。(夏目漱石 ぼっちゃんー1 ) 夏目漱石 少爷 之1」
父母遗传的鲁莽性格,使我从小时候起,就总是在吃亏。上小学的时候,我曾经从校舍的二楼跳下来,导致腰骨错位,一周没能站起来。也许有人会问为什么要这么胡来。也没有什么特别的理由,只是因为我从新校舍的二楼探出头时,同年级的一个人开玩笑说“你再怎么威风,也不敢从那儿跳下来吧。胆小鬼---哦〜”被人起哄引起的。我被学校的勤杂工背回家时,因为父亲瞪大了眼睛说:“哪儿有从二楼跳下来就会腰骨错位的家伙”。我就回答他:“那下次,我再跳个不会腰骨错位的给你看看”。我拿着亲戚给我的西洋产的小刀,将锋利的刀刃在阳光下闪来闪去地给朋友们看时,其中的一个人说:“亮倒是挺亮,不见得能切什么东西吧。”我就说:“怎么会切不了?不管是什么都能切给你看。”我打了保票。“那就切切你的手指看看”他要求道。“手指有什么了不起,你看着”说着就切向右手拇指背。幸亏小刀没那么大,而且拇指的骨头也比较硬,所以至今拇指还连在我的手上。但是伤疤是永远不会消失的了。朝院子东面走二十歩到头,再朝南上坡有一个小小的的菜园,中间立着一颗栗子树。这可是比命还重的栗子。因为栗子成熟的时候,我起床后从后门溜出去,捡来落下的栗子,要拿到学校去吃。菜园西面与一个叫“山城屋”的当铺的院子连在一起。这家当铺有个叫勘太郎的十三四岁的小子。勘太郎当然是个胆小鬼。明明是个胆小鬼,却偏偏要翻过竹篱笆来偷栗子。一天傍晚,我藏在折叠门的背阴处,一举抓到了正在偷栗子的勘太郎。那时勘太郎没了退路,使出浑身的劲儿向我扑来。他比我大两岁。虽然是个胆小鬼,但是力气还是有的。他将盆儿似的大头朝着我的胸前一股脑儿地冲过来,勘太郎的头一下子滑进我的和服袖子里。这样我的手就动不了了,我胡乱地挥起手,这更使钻进袖子里的勘太郎的头右左甩来甩去。他在袖子里忍不住了,咬住了我的上臂。我痛得只好将勘太郎压到墙根,用脚将他绊倒在地上。 (夏目漱石 少爷之1 熊谷鐘蘭 凌焱) |