2012年11月の優秀答案当選者5名: ★田中健治、駒形さちこ、江川隆介、海部なみ, 劉杏英
「我輩は猫である2012−11」: しかしいくら不器量の吾輩でも、今吾輩の主人に描き出されつつあるような妙な姿とは、どうしても思われない。第一色が違う。吾輩は波斯産の猫のごとく黄を含める淡灰色に漆のごとき斑入りの皮膚を有している。これだけは誰が見ても疑うべからざる事実と思う。しかるに今主人の彩色を見ると、黄でもなければ黒でもない、灰色でもなければ褐色でもない、さればとてこれらを交ぜた色でもない。ただ一種の色であるというよりほかに評し方のない色である。その上不思議な事は眼がない。もっともこれは寝ているところを写生したのだから無理もないが眼らしい所さえ見えないから盲猫だか寝ている猫だか判然しないのである。吾輩は心中ひそかにいくらアンドレア・デル・サルトでもこれではしようがないと思った。しかしその熱心には感服せざるを得ない。なるべくなら動かずにおってやりたいと思ったが、さっきから小便が催うしている。身内の筋肉はむずむずする。最早一分も猶予が出来ぬ仕儀となったから、やむをえず失敬して両足を前へ存分のして、首を低く押し出してあーあと大なる欠伸をした。さてこうなって見ると、もうおとなしくしていても仕方がない。(夏目漱石 継続) 《俺是猫2012—11》: 不过不管俺是多么丑的猫,也不是俺主人画的那副莫名其妙的样子。首先是颜色不对。俺有着就像波斯猫那样间杂着黄色的淡灰色斑点的皮毛。这一点谁看到都是无从怀疑的事实。但是,如今看到主人画的色彩应该是黄的地方却既不是K色又不是茶色,既然如此的话可也不是混合色。只是除了一种颜色以外无法评判的颜色罷了。再一个不可思议的是:没有眼睛。本来嘛,给一只在睡觉的猫写生,轻易找不到眼睛,究竟是盲猫还是睡猫是无法判断的。我心里想,这哪怕是安コ烈·达格诺罗·萨托来画也没法子吧。不过我不得不对俺主人的热心而感服,俺尽量一动不动,一开始画的时候俺就有尿意,到越來越忍不住,到了哪怕早一分钟结束也好的局面,俺没法子,只好对不起離開了,,俺把两足使劲伸到前边,头放在两足上打了一个大哈欠,俺再老老实实呆下去也沒什麼意思。 |