行く経路: 飛行機で上海或いは北京まで、飛行機乗換で烏魯木齊(ウルムチ)市まで、市内から天山へ旅行ツアーが複数ある。
天山山脈は中央アジアのカザフスタン、キルギスから中国西部にかけての国境地帯に広がる山脈群。天山山脈のウイグル語名は天の山を意味するテンリ・タグ(Tengri tagh)といい、漢名はこれに由来する。
最高峰はポベーダ山(7,439
m)で、中国とキルギスの国境にあり、キルギスの最高峰でもある。2番目に高いのはハン・テングリ(7,010 m)でカザフスタンとキルギスの国境にある。山越えのルートとしてはトルガルト峠(3,752
m)がキルギスと新疆ウイグル自治区の境界に位置している。
天山山脈の南はパミール高原に繋がり、南西には広大なタクラマカン砂漠が広がる。天山山脈を源流とする主な河川はシルダリヤ川とタリム川である。
新疆天山は、複数国にまたがる天山山脈のうち、新疆ウイグル自治区内に属する4つの自然保護区を対象とするUNESCOの世界遺産リスト登録物件である。美しく多彩な山岳景観や独特の生態系が評価され、2013年の第37回世界遺産委員会で登録された。
新疆天山には、希少な動植物も見られる。植物としては、危急種のマルス・シエウェルシイ(Malus sieversii, リンゴ属)、絶滅危惧種のベトゥラ・ティアンスカニカ(Betula tianschanica, カバノキ属)とトゥリパ・シンキアンゲンシス(Tulipa sinkiangensis, チューリップ属。中国名新疆鬱金香)、絶滅寸前のアモピプタントゥス・ナヌス
(Ammopiptanthus nanus) などが挙げられる[15]。動物としては、ヒメチョウゲンボウ、カタシロワシ、カラフトワシ、セーカーハヤブサ、ノハラクサリヘビ、コイ(以上、危急種)、モウコノウマ、キガシラウミワシ、オコトナ・イリエンシス(Ochotona iliensis, ナキウサギの仲間)、ユキヒョウ(以上、絶滅危惧種)、アキペンセル・ヌディウェントリス(Acipenser nudiventris, チョウザメの仲間)(絶滅寸前)などを挙げることができ。
以下の4件で構成されている。
托木爾(トムール)
トムール/托木爾 (Tomur)
は、天山山脈の最高峰ポベーダ山(標高7443m[注釈 2])の別名である。世界遺産の登録対象は1980年に設定された自然保護区を前身として、2003年に設定されたトムール峰国家自然保護区
(Tomur Peak National Nature Reserve, Iaである。世界遺産としての登録面積は344,828 ha、緩衝地域は280,120 haである。
庫爾徳寧(クエルデニン)
カラジュン/喀拉峻とクエルデニン/庫爾徳寧 (Kalajun-Kuerdening,
ID1414-002) は、2009年に設定された地方自治体レベルの保護区であるカラジュン自然保護区 (Kalajun
Provincial Nature Reserve, IV) と、2000年に設定された西天山山脈国家自然保護区 (West Tianshan Mountains national Nature Reserve, Ib) とで構成される。世界遺産としての登録面積は113,818 ha、緩衝地域は89,346 haである。
巴音布魯克(バインブルク)
バインブルク/巴音布魯克 (Bayinbuluke,
ID1414-003) は、天山中部の標高2,400mから2,600mの地域に広がる草原の名前である。1986年に設定された保護区を前身として、2001年にバインブルク国家自然保護区
(Bayinbuluke National Nature Reserve, Ib) が設定されている[11]。世界遺産としての登録面積は109,448 ha、緩衝地域は80,090 haである。
博格達(ボグダ)
ボグダ(ボゴダ)/博格達 (Bogda)
烏魯木齊(ウルムチ)市の東方約60kmに位置する山で、標高は5,445
mである。トムールよりはずっと低いが、ボゴダ山の中では最高峰であり、周囲の景観の中では際立っている[13]。中腹(標高1,980 m)には『穆天子伝』中の西王母の伝説とも結びついている景勝地・天池がある。1980年に設定された保護区を前身に、2006年に天山天池国立公園
(Tianshan Tianchi
National Park, II) に指定された。世界遺産としての登録面積は38,739 ha、緩衝地域は 41,547 haである。
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